特定非営利活動法人 北海道自然エネルギー研究会

会長からのメッセージ -あれから1年-


2010年6月26日の総会において,浦野会長の後任として就任しました池田です. 早いもので,1年が経過しました. 2011年6月25日には平成23年度の総会と研究発表会が北大農学部で開催され,会員の皆様との活発な討論や意見交換により,大いに勉強しかつ親交を深めることが出来ました. 「自然エネルギーと環境の事典」も今年度出版を目指して,100名にも及ぶ執筆者が積極的に取り組んでいるところです.

かように我が北海道自然エネルギー研究会も,順調に活動しております. しかし,あれから1年,思いも寄らぬ大きな変化が押し寄せています. 誰しもが自らの生活そのものを見直し,人間と生命について思いを馳せらざるを得ない事態に遭遇しました. 2011年3月11日,「東北大震災」と,それに引き続き発生した「福島第一原子力災害」であります. 今なお,死者,行方不明者が2万3千人以上,原発から半径20km〜30kmにも及ぶ地域からおよそ10万人もの人々が困難な避難生活を送ることを余儀なくさせられています. 我々が現実に生活している高度技術社会においては,天災と人災とがかくも連鎖的にかつ複雑に絡み合って拡大するということを思い知らされました. 今こそ,自然の力への無知,人間の傲慢さ,経済社会主義のひずみなどを素直に再認識しなければなりません.

会長就任後のニュースレター(「北海道自然エネルギー」,vol..6-2, 2010.12.10)の挨拶では,地球温暖化問題だけに目がいっていました. 地球温暖化が人間活動によるものなのか,それとも地球の周期的な変動の一部なのかといった根本的な問題についての科学的な議論の決着はついていませんが,地球上の温室効果ガスが増えて環境が汚れていることは確かでありますし,化石エネルギーが底を突き出していることも明らかです. それ故,自然エネルギーの活用は必然であるという主旨のことを述べました. そこに,エネルギー供給の根源にかかわる問題として,国策として推進されてきた原子力発電そのものを問い直すエネルギー戦略の見直しが加わりました. ドイツやイタリアで「脱原発」を宣言したように,日本でも本当に政策転換することができるのか. すなわち,エネルギー源として,自然エネルギー,化石燃料,原子力発電,の比率をどのように判断するのかといった喫緊の課題に直面しています.

我々,自然エネルギー研究会のメンバーは様々な専門や組織の人々が集まっています. 時には異なる考え,立場からぶつかり合うこともありましょうが,互いに議論を深めあうことは大いに歓迎すべきことです. 科学的な根拠に基づいて自然を見つめ直し,現実を認識することから人間活動とエネルギー問題について考えを巡らしていきたいものです. そして,「自然と共生して,安心して生きることのできる社会を創造する」という理念のもとに,再生可能エネルギーの導入促進に向けて行動していきたいと考えます.

2011年7月5日
会長 池田隆司

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Natural EnergyResearch Accociation in Hokkaido